1.計画の概要
本事業計画は調布学園の新築校舎に設置する空調設備用配管に発生する残存圧力を利用して水力発電を行うものです。空調循環水量は0.03m3/sec 残存圧力(有効落差)2.5kgf/cm2(25m相当)を利用して発電を2.4kWを発生し、発生電力は照明等の電源として消費します。
2.発電規模の検討
1)理論出力
水力発電の理論出力は下式で求められる。
理論出力(kW)=9.8×有効落差(m)×流量(m3/s)
実際には水車の効率および発電機の効率は100%ではなく、実出力は理論出力に機器の効率を掛けたものとなる。
一般的には出力をP、有効落差をH、流量をQ、水車効率をηt、発電機効率をηgとし
P=9.8×H×Q×ηt×ηgで求める。
2)本計画の発電規模
水車と発電機の総合効率は約70%(推定値)で、前記式から実出力を求めると
P=9.8×25×0.03×0.7
≒5kWの発電が可能。
3.発電システムの概要
提案する発電システムは横軸プロペラ水車により水のエネルギーを運動エネルギーに変換し、更に直流発電機(オルタネータ)により電気エネルギーに変換します。
更に直流の電力をインバータにより交流電力に変換して外灯照明等の負荷設備に供給します。この方式は水力発電による単独の電源装置で、系統連係運転は行わず、空調設備のポンプが起動し余剰な水力エネルギーが発生した場合に自動的に発電を行うシステムです。
4.適用する主な機器
4-1 水 車
1)数 量 1台
2)型 式 固定羽根横軸プロペラ水車
3)有効落差 25m
4)定格流量 0.03m3/sec
5)定格出力 4.8kW
4-2 発電機
1)数 量 1台
2)型 式 直流発電機(オルタネータ)
3)定格電圧 24V
4)定格電流 150Ac
5)定格出力 3.6kW
4-3 発電制御盤
1)数 量 1台
2)型 式 鋼板製自立型
3)収納用品 発電制御盤には主回路用品、インバータ(DC24V→ AV100V)、蓄電池、(オルタネータ運転、蓄電用)および制御装置を収納します。
4)表示器
発電制御盤へ全面パネルには操作スイッチおよび運転状態、発生電力量の表示(出力する電圧、電流、電力、積算電力量はマルチメータで表示します。)
5)インバータ
インバータは発電機および蓄電池から供給される直流24Vを交流100Vに変換するもので、定格出力2.4kWの装置とします。
インバータは負荷設備に対して、定格容量の範囲で出力を自動的に調整するものとします。
6)蓄電池
蓄電池はガスの発生がなく、メンテフリーのシール型とします。
水車および発電機が定格運転した場合の出力3.6kWをインバータ(出力2.4kW)で負荷設備に供給し、負荷との差分を蓄電池に蓄積します。空調循環ポンプが停止(水力発電停止)時に3〜4時間程度電力を供給可能な容量とします。
7)その他
本発電装置は「単独電源」として運用する方式としますが、負荷設備側が長時間の停電を許容出来ない場合は、商用電源との電源の切替が自動的に行える設備とします。(電源切替であり系統連係ではありません)
5.発電状態の表示
新築校舎において導入される情報システム、スクールオープンネットワークシステムの環境観察システムを利用して、情報LANに発電状態を表示する。これにより学内のどこのパソコンのモニターからでも、またインターネット経由でもデータがホームページ上で表示されます。またデータはサーバへ随時蓄積されており、そのデータを環境教育の授業などに活用します。
6.環境負荷低減効果
本発電装置の設置による「環境負荷低減効果」はCo2削減量約6.7ton/年 石油では約2.3キロリットル/年が下記試算にて期待できます。
試算:
1日の運転時間は12時間、運転期間8ヶ月として場合
発生電力量約9200kWh(3.2kW×12H×30日×8ヶ月)
Co2削減量約6.7ton/年 (*)
石油換算量2.3キロリットル/年 (家庭用ポリタンク 約128個分)
*)Co2の削減量の算出は電力中央研究所「ライフサイクルCo2排出量による発電技術の評価
平成12年3月」によるものです。
石油火力: 742.1g--Co2/kWh
水 力: 11.3g--Co2/kWh
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