参考資料2



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シンガポール● 教員制度

シンガポール
 シンガポールはマレー半島南部に位置する面積620km2の小国ですが、東南アジアの経済 金融センターとして発展を続けています。
 国土が狭く、天然資源を持たないため、人間が国のもっとも重要な資源とみなされ、そ のため教育がとても重視されています。

 国語はマレー語ですが、多民族国家で、中国系、マレー系、インド系などの住民が混在 するため、公用語としてマレー語、中国語、タミール語、英語が使用されており、行商屋 や商業活動では主に英語が用いられています。

 こうした事情から、教育においても語学が重要視され、各民族内の共通の言語と文化を 維持する一方、国民相互間のコミュニケーションの手段としての言語も必要であるという ことで、英語(第一外国語)と母語(第二外国語)の二言語主義教育が行われているので す。

  しかし二言語教育は平均以下の能力の子供たちには大きな負担となります。  このため、能力に応じて語学学習の程度を軽減すると同時に、国の発展に必要な人材を 効果的に育成していく手段として、生徒の能力適性に基づいた進級・各種コースへの振り 分けが初等教育段階から行われています。

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就学前教育
登録された私立の幼稚園や保育園で、3歳から6歳までの児童に対し2年ないし3年の教育を 行なっています。
また若干の小学校でも1年間の修学前教育が行われています。

義務教育
法令で規定された義務教育はありませんが、初等教育から前期中等教育までは完全普及の 域に達しています。

初等教育
小学校では最初の3年間は特に言語および算数の学習を中心に道徳、科学、図工、音楽、 保健体育の教育が行なわれています。
この間に留年はなく、3年終了時にそれまでの試験の成績に基づいて、二言語正規コース、 二言語延長コース、一言語コースに分けられます。
二言語正規コースは平均以上の生徒がさらに3年間の教育初等教育を受け、6年間の初等教 育終了時に教育省が実施するPSLEを受けるというものです。
二言語延長コースというのは二言語正規コースが3年かけて学習することを5年かけて学習 し、8年間の初等教育終了時にPSLEを受けるコースです。
一言語コースでも5年間の初等教育を受けることは同じですが、一つの言語に重点を置い た学習となり、8年間の初等教育終了時に第一および第二言語(オーラルのみ)と算数につ いて教育省が行なう小学校熟練試験PSPEを受けたあと、職業・産業研修委員会VITBの実施 する職業訓練をうけて就職します。

1989年の調べでは、3年次終了の生徒のうち85%が二言語正規コース、10%が二言語延長コ ース、5%が一言語コースに進んでいます。
しかし、4年次にこれらのコースに振り分けられても、後になって能力を発揮する生徒の ことを考慮して、各学年の成績によって他のコースへの移動は可能となっています。

中等教育
小学校終了時にPSLEを受けた二言語延長コースの生徒は、その成績によって中等教育の三 つのコースに振り分けられます。
PSLEの成績が優秀な生徒は、4年間の特別コースに進み二つの言語の双方を第一言語レベ ル(上級水準)で学習し、終了時に教育省およびケンブリッジ大学試験委員会が行なうGCE' O'レベル試験を受けます。
PSLEの成績が平均以上の生徒は、4年間の高速コースに進み一つの言語を第一言語レベル、 他の他の言語を第二言語レベル(普通水準)で学習しGCE'O'試験を受けます。
平均未満の生徒は4〜5年間の正規コースに進みひとつの言語のみを第一言語レベルで学習 します。
そして、4年終了時のGCE'N'レベル試験を受けるものと、そのまま職業訓練を受けるか就 職するものとに別れます。
この場合も、小学校と同様に各学年の成績により他のコースに移動することは可能です。 1989年にPSLEに合格した生徒のうち、5%が特別コース、60%が高速コース、35%が正規 コースに進みました。

後期中等教育にあたるものとしては、大学前教育があり、中等学校終了時のGCE'O'レベル の成績に基づき、2年間のジュニア・カレッジ、あるいは3年間の大学予科センターに進み、 それぞれ終了時にGCE'A'レベル試験を受け、その結果により高等教育機関へ進学、あるい は就職することになります。

一般に、中学校終了時にGCE'O'レベル試験を受けたもののうち、30%が大学前教育機関に 進みます。
一方、GCE'A'レベル試験を受けたもののうち、50%が大学に、5%がポリテクニクに進学し ます。

高等教育
シンガポール国立大学NUS,洋工科大学NTI,シンガポール・ポリテクニクSP,教育大学IE(In stitute of Education)など6校があります。
それぞれの入学資格要件は機関によって異なり、GCE試験の成績を基準にしています。

●教員養成
従来では一般大学卒業者(学士)がさらに1年程度教育カレッジで教職専門科目を履修する 方式をとっていましたが、近年では一般教養と教職教養を同時に履修する方式も採用され ています。

※参考資料:文部省大臣官房調査統計企画課刊
        『諸外国の学校教育(アジア・オセアニア・アフリカ編)』

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