◆パート4:学校と車社会「ボンエルフ」
日本では毎年交通事故で、5,500人くらいの方が亡くなっています。
そのうち子供が500人くらい亡くなっています。
これは、変質者が学校に乱入して、殺害する数よりはるかに多いのです。今、子供達を交通事故を気にせずに自転車で遊びに行かせられる町が一体どれくらいあるでしょうか?
しかし、この様な形でメディアにおいては扱われていません。
理由は、スポンサーが車メーカだったりするから?
これは冗談ですが、それだけ”よくある出来事”として認識されているのでしょう。ニュース性がないのです。しかしながら、当事者の親として、加害者がいるので、世間を騒がせる通り魔の事件と同様な憎しみと悲しみを持つと思います。
でもつらいのは、その加害者が憎むべき悪者とは限らないことです。これは、とてもつらいことだと思います。さらに自分も何時加害者になるか分からない危険性も持つのです。
これほど子供の交通事故の問題は現在大きな問題なのです。特に小さい子供が一人で通学しなくてはならない小学校の通学時の交通事故は、真剣に対策しなくてはならない問題です。
そこで学校の計画時には、十分この通学路の問題は議論する必要があるのです。極論ですが、不審者の侵入を監視するカメラ設置をするより、学校へアプローチから車を閉め出すことの方が重要かもしれません。また道が安全であれば、道という子供の「遊びのネットワークスペース」を生み出します。この道スペースは、子供の遊びスペースの一つですが、他に、どんなものがあるか、まず子供にとって必要な遊びのスペースを列記してみます。
1.自然スペース(里山、小川、田んぼ)・・都市部でも郊外でも激減している。
2.オープンスペース(原っぱ、広っぱ)・・現在あっても規制、柵がされている。
3.アナーキースペース(工場跡地、廃材置き場)・・多少あるが、とても危険。
4.アジトスペース(子供にとっての秘密基地)・・ビルの谷間や公園の隅にある。
5.道スペース(通学路)・・・出会いの場所子供のネットワーク。
6.遊具スペース(公園、学校)・・・今一番ある。
*(仙田 満;子供あそび 岩波新書)
以上のような遊びスペースがあります。想像以上に子供は色んな遊び場を持ちます。学校も当然地域の遊びスペースの一つです。そして、学校へ続く道は、遊び場を繋ぐローカルネットワーク、つまり重要なインフラとなるのです。
ここで自分の子供時代を少し思い出してください、小学校の通学路は、昔なら今のような車社会でもなく、秩序なき宅地開発もりません。だから上で並べた色々な遊びスペースが周りにはあったはずです。
そして小学校とその地域周辺は、自分の子供時代の原風景、つまり故郷の風景となるっているはずです。
そのいい証拠として、ある生涯教育のエッセイ教室で、定年された年輩の方々に手始めに書いてもらう題材として、小学校の風景の想い出を書いてもらっているそうです。そうすると、埋もれたいた過去から、少年期、少女期の黄金時代を生き生きと思い出し、書くことに困ることはほとんどないそうです。つまり、小学校はその周辺地域までが子供時代の想い出となります。ここまで考えてみると、いかに小学校へのアプローチが大切か理解出来ると思います。
しかし、現実は、10m先のコンビニエンスストアーに行くのに車を使うような世界です。子供達の原風景は、車の窓から切り取られた風景だけ、当然学校へ至る道は車で溢れていてます。そのうち何人の子供は事故にあい怪我、最悪死亡・・です。
幼稚園は今ほとんどがバス通園です。それは、母親が車で溢れる道を子供を連れて歩く、または自転車で送るのに危険を感じているからです。でも、小学校は全て徒歩通学です。「何故?」
もうアメリカみたいにバスでもいいのではと思います。
さて、一度考えてみてください。子供達を歩いて通学させて、大人(教職員)が通勤で車でを使う。一方子供達が歩きでは、子供達はおかしいと感じるかもしれません。車社会の便利さは大人の生きる速度では、楽で危険性はないかもしれませんが、小学校低学年にとっては凶器そのものだと認識してください。
つまり先生が車で学校へ通うことは当たり前のことではないのです。
色々書きましたが、このような学校へのアプローチにおけるアイデアとして現在一番実現性のある方法が、1970年頃からオランダで始まった「ボンエルフ」なのです。
これは道に緑地緩衝物などを置き、車と人が共存できるスペースを提供します。この「ボンエルフ」を学区内で徐々に実施していったらどうでしょうか?
これこそが環境を考えたエコスクールだと思います。
さて、「ボンエルフ」とITとの関わりがないと思いでしょう。実はデータを取り、それを反映させ、フードバックする大切な役目があります。
歩行者、車の通行数を定点観測、騒音測定、「ボンエルフ」を実施したことで、変化した地域の状況を、さらに気温、天気、温度など都の関係など学校周辺の環境データを資料として色んな試みが出来ます。そんなエコスクールを作るためにIT技術を利用すことが、パソコンでインターネットをするより重要なことに将来はになっていきます。
ITによるエコスクールはまた次回にまとめてみたいと思っています。
*ご意見待ってます
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